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小林よしのり
2014.4.16 15:25

丸山大佐と水上少将


村山談話・河野談話に未来はあるか?

56回 米軍調査報告に見る慰安婦の実態(その7)

 

慰安婦問題にはあまり関連しないが「日本の軍人に

対する反応」という項も紹介しておきたい。

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慰安婦と日本軍将兵との関係において、およそ重要な

人物としては、二人の名前が尋問から浮かび上がった

だけである。

それは、ミッチナ駐屯部隊指揮官の丸山大佐と、

増援部隊を率いて来た水上少将であった。

両者の性格は正反対であった。

前者は、冷酷かつ利己的な嫌悪すべき人物で、部下に

対してまったく思いやりがなかったが、

後者は、人格のすぐれた心のやさしい人物であり、

またりっぱな軍人で、彼のもとで仕事をする人たちに

対してこの上ない思いやりをもっていた。

大佐は慰安所の常連であったのに対し、

後者が慰安所にやって来たという話は聞かなかった。

ミッチナの陥落と同時に丸山大佐は脱出してしまった

ものと思われるが、水上将軍のほうは、部下を撤退

させることができなかったという理由から自決した。

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丸山房安大佐は別の尋問報告書では

悪名高い丸山大佐」という項目まで作られている。

それによれば、大佐はその風采と、身の危険が生ずると

必ず蛸壺(待避壕)に潜り込む習癖から兵隊たちに

「谷わくどう」(谷間のひき蛙)と呼ばれていたという。

 

戦況悪化で部下の食事が米と塩だけだった時も自分専用

の鶏を飼い「なぜもっとたくさん卵を産まないのか」と

文句を言ったとか、

慰安所料金を値切り、慰安婦の取り分を60%から50%

切り下げたため慰安婦にも不人気だったとか、

戦死と伝えられたが、部下に荷物をいっぱい担がせ、

自分は手ぶらで歩いているのを目撃されたとか、

とにかく最低だ。

水上少将の自決を供述した捕虜は「丸山はもし窮地に

追い詰められたら切腹するだろうか」との質問に

「丸山が果たして切腹の作法を心得ているか

怪しいものだ」と嘲るように答えたという。

 

左翼は日本の軍人が全員「丸山大佐」だったかの

ように言い、自称保守は全員「水上少将」だった

かのように言う。

もっとも、水上少将のような日本人は戦争でみんな

死んでしまい、戦後の日本人はみんな「丸山大佐」の

子孫じゃないかとも思えてくるが。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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